Haroshi 2003 - 2021

Haroshi 2003 - 2021

Haroshi

出版社:NANZUKA

2003年にパートナーの春さんと二人でスケボーでもの作りを始めて、もう18年も経ってしまった。当時ジュエリーの仕事をしていた僕らはこのプロジェクトのために会社を辞めた。スケボーばかりしていた僕は、お金はなくても乗り終えたスケボーだけはいっぱい持っていて、そしていくらでも友人から手に入れることができた。最初はどうやって切っていいかもわからず、とりあえず中古の電動の糸鋸を買った。渋谷の小さな6畳のアパートで、僕らは“Haroshi”を始めたのだ。

始めた当初は汚いとか、そんなことやめたほうがいいとか心ない言葉をかけられて落ち込んだこともあった。作ったアクセサリーも、生活するギリギリくらいにしか売れないので、ジュエリーの仕事も受けながら夜中は都会の工事現場で働いた。そんな中、アクセサリーをお店に並べる時に何か目をひくものが欲しいと言われ平面や立体の作品をつくり出した。今見ると本当に拙い技術で、よく作ったものだと思う。時間だけは当時の僕らにはたくさんあったから、納得がいくまで必死に作った。

いつでもわからないことや、できないことがあれば仲間が助けてくれた。作品の写真も、木の削り方、塗装の仕方、絵の描き方に至るまでだ。ある時、アクセサリーよりも作品の方に興味を持ってくれた人が現れて、アートショーをしないかと言ってくれた。アートショーをするようになり、気がつけばクラフトマンだった僕らはアーティストと呼ばれるようになった。

とにかく、自分達の持てる時間をすべてつぎ込んで、作品を作りまくった18年だった。振り返ればあっという間だったけど、決して短かったとは思えない。まだまだ道半ばだけれども、ずっとまとめたいと思っていた初期の作品から近年の作品まで1冊の本にまとめられて本当に嬉しい。僕らに携わってくれた全ての人達にこの場を借りてお礼を申し上げたい。

― Haroshi(本書序文より)

Haroshi
1978年東京生まれ、2003年より独学で習得した技法を駆使して、スケートボードデッキの廃材を使った彫刻作品、インスタレーションを制作している。キース・ハフナゲルが率いるストリートブランドHUFとのコラボレーションや、BATB(*)のトロフィーなどを通じて、現代のストリートカルチャーの深層を体現する数少ないアーティストの一人として、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンなどで展覧会を行うなど、絶大な支持を集めている。2019年、ニューヨークとロサンゼルスを巡回した「Tokyo Pop Underground」(Jeffrey Deitch)では、展覧会を象徴する5メートル四方にわたる大作のインスタレーションを発表し、大きな話題を呼んだ。

*BATB
アメリカ・ロサンゼルスに、2007年にプロスケーターのSteve BerraとEric Kostonが設立したプライベートスケートパーク「The Berrics」がある。BATB (Battle at The Berrics) は、そこで行われるプロスケーター達によるSkate Gameのトーナメント戦のことを言う。